ぶたみみたぶblog

クスッと笑える日常を

カラスの糞がマーベラスだった話

1年半だけ一人暮らしをしていた時期がある。東京の世田谷区、ローカル線の駅から30秒、8畳1ルーム、最上階、ここまではよくある物件。わたしの部屋には10畳程のベランダがついていた。ルーフバルコニーとよぶものかもしれない、しかし昭和生まれにはベランダと呼ぶほうがしっくりくる。ベランダの正面は線路を挟んだ向こう側に6階建てくらいの低いビルが並んでいた。部屋から見る景色は何も置かれていない、がらんとした広い殺風景なベランダと空だけ。休日にぼーっとそれを眺めるのが好きだった。

ある日の休日窓の外を見ていると、一羽のカラスがベランダの左奥の柵にとまった。部屋からいちばん遠い角の柵だから、部屋にいる私からカラスまでの距離は5メートルはある、でも怖い。どうしようと思っている間にカラスはプリっと糞をして飛んで行った。しかもお尻をこちらに向けて、すなわちベランダ側に糞を落としていった。

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わたしはすぐに糞確認をしにベランダに出た。雨水の排水溝には鮮やかな緑の苔がこんもり生えていて、糞はそのこんもりのど真ん中にあった。上手に真ん中。わたしは確認だけして放置した、触りたくなかったから。

それからどれくらい経ったかは覚えていないが、よく晴れた日にベランダで洗濯物を干していると、ベランダの角にニョキっと生えた植物に気づいた。あの排水溝のところ。近づいて見るとそこには青紫蘇が生えていた。スーパーや八百屋で見るふんわり優しい紫蘇の葉とは違う。緑が濃くて葉は分厚く、野性味溢れている、一応嗅いで確かめたがちゃんと紫蘇だった笑。水もあげずにそのまま放置した紫蘇は日に日に大きくなり、なんとわたしの肩ほどまで大きくなった。惚れ惚れするほど茎は太長く、葉も増え大きく立派に成長した。

殺風景な広すぎるベランダに、立派なシンボルツリー的な観葉植物が出来て大満足だった。あの時糞を片付けなくてよかった。排水溝の苔も気にせず生やしっぱなしでよかった。ずぼらが功を奏した。

これを友達に話すと、絶対聞かれるのが、「食べた?」。答えはご想像にお任せします。

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